一部の経営者様の中には

「雇用契約書や採用書類なんて、ネットで無料で提供されている。

だから、わざわざお金を払いたくない」

というお考えを持っている方もいるかと思います。

それでは、果たしてインターネットで無料にダウンロードできる雇用契約書は

企業にとってリスクを軽減できるものとなっているのでしょうか?

また、労働法が目まぐるしく法改正されている昨今、無料の雇用契約書は法改正対応のものとなっているのでしょうか。

そこで、インターネット上で流出していた雇用契約書の雛形をダウンロードしてみました。

それが下の契約書です。
※一部内容を変更しています。説明をわかりやすくするため、会社名や勤務場所などの記載はこちらで記入させていただきました。

ネットでDLできる無料の雇用契約書は安心?危険?

無料雇用契約書のデメリット解説

職種内容の記載方法のリスク

トラブル度★★

「営業職」のみの表記は、職種が限定されてしまいますので、

但し書きを付記して、他の職務に変更する場合があることを示唆しましょう。

試用期間の記載無しのリスク

トラブル度★★

社員の能力や勤務態度などにより本採用するか否かの判断を行うためにも、

試用期間は設けましょう。

本社のみの記載のリスク

トラブル度★★

本社の所在地のみの表記は、勤務地が限定されていると解釈されますので、

但し書きを付記し、転勤、出向などの異動の可能性を示唆しましょう。

7時間の労働時間設定のリスク

トラブル度★★★★

上記の所定労働時間は7時間ですが、
労働基準法で定められている法定労働時間(休憩時間は除く)は8時間となっています。

「繁忙期になったら、労働時間を1時間伸ばせばいいや」

とお考えになっている方もいらっしゃるかもしれませんが、
労働時間を1時間増やすことは社員にとっては不利益変更となりますので、
社員全員からの同意が必要となり、社員を説得するのに、骨を折る可能性があります。

最初から、8時間で設定することをお勧めします。

固定残業代を設定することのリスク

固定残業代を設定

トラブル度★★★★

固定残業代を設定する場合には、
手当の金額が残業時間の何時間分に当たるかの表記が必要となります。

時間数の表記がない場合は、固定残業代が無効となりますので、ご留意ください。

支給日の設定リスク

支給日の設定

トラブル度★

支給日が休日の場合、支給日を繰り上げるのも、繰り下げるのも法律上問題はありません。しかし、支給日が月末の場合、支給日を繰り下げることで翌月支給となり、労働基準法第24条の毎月1回以上払いの賃金原則に抵触してしまい、法律違反となります。

昇給と書くことのリスク

トラブル度★★★★

「昇給」と表記すると、会社の業績が悪くても、毎年、給与を昇給させなければならなくなります。

賞与の書き方リスク

トラブル度★★★★

年2回と表記することで、賞与を必ず2回支給しなければならなくなります。

但し書きの付記で、支給されない可能性があることを明記しましょう。

銀行振込先の指定リスク

トラブル度★★★

労働者の同意なく会社が指定した銀行口座に給与を振り込むことは禁止されています。

年次有給休暇の記載方法のリスク


 

 

トラブル度★★★

労働基準法では、6カ月継続勤務した場合、10日の年次有給休暇を付与すればよいことになっています。

就業規則によるという書き方のリスク

トラブル度★★★

無料で提供しているネット上の雛形で注意しなければならないのは、
就業規則ありきの雇用契約書が多いということです。

会社に就業規則がなければ、この表記は無効になります。

退職や解雇に関する定めがないリスク

トラブル度★★★★★

退職や解雇に関する定めがありません。

会社が社員を解雇する際に、
就業規則や雇用契約書などの文書に解雇の根拠となる条文がない場合、
社員を解雇することができません。

定年60歳と記載するリスク

トラブル度★★

定年を60歳とする場合、高年齢者雇用安定法に基づく再雇用制度を導入する必要があります。

「期間の定めあり」の書き方リスク

トラブル度★★★★★

「期間の定めあり」の有期雇用者と雇用契約を結ぶ場合、
契約更新の明確な基準を提示する必要があります。

就業規則によるという表現リスク

トラブル度★★★★

就業規則がないにも関わらず、「就業規則による」との表記は何ら効力を有しません。


いかがでしたでしょうか。

無料で提供している雇用契約書の雛形がいかにリスクを伴っているかお分かりになったかと思います。

もし上記の雇用契約書の指摘項目とコメントを見て、

自分でリスク防衛の雇用契約書を作成できそうであれば、

わざわざ当事務所が販売する雇用契約書をご購入いただく必要はございません。

しかし、

雇用契約書を自分で手直しすることは難しいと感じている方や

雇用契約書を作成する時間がない方は、

ぜひこの機会にリスク防衛型雇用契約書のご購入をご検討ください。

こちらに詳細がございます。

料金はこちらです。

どうぞお役立てください。

ご質問は下記お問い合わせ・お申し込みフォームよりご相談ください。

お問合せフォームはこちら TEL03-5823-4292 FAX03-5825-4147